ペルシャ絨毯協同組合 Persian Carpet Association in Japan

ペルシャ絨毯協同組合 Persian Carpet Association in Japan

連載コラム/Column:素晴らしきペルシャ絨毯の世界

第8回:ペルシャ絨毯の産地と種類 〜ナイン〜
イランのほぼ中央に位置する小さなオアシス都市

 ナインは、イスファハンから東へ150km、カビール砂漠の中にあるイスファハン州の小さなオアシス都市です。イランのほぼ中央部に位置し、人口は5,000人ほどです。イランの歴史上に、これといったエポック、物語を刻んだ都市ではなく、イスラム初期のモスクや素晴らしいメヘラブ、そして14世紀のミンバル(説教壇)を有するマスジュデ・ジャーメ(金曜寺院)が有名ですが、そのほかには、観光地となるような名所旧蹟や景勝地はありません。




1920年代からの新興産地ながら堂々たる風格の絨毯

 ナインは、かつては羊の毛を押し固めたフェルトでつくる、ペルシャ独特の外套のような衣服の産地でした。しかし、近年イランでも、西洋式の衣服が用いられるようになり、そうした産業は衰退していきました。そこで、この伝統的な産業に変わって絨毯製作へと転換がはかられたのが、1920年頃になります。ですから、ほかの絨毯の産地と比べても、その歴史は浅く、最古のナイン絨毯でもせいぜいセミ・アンティークの部類に属する程度です。当初はイスファハンの職人の指導が行われましたが、今やそのイスファハンやクムなどと並び称される大産地にふさわしい、堂々たる風格の絨毯を産出するに至っています。


上品な色使いと上質な織りは「ノーブル&エレガンス」

 絨毯の技術がイスファハンから伝えられたことから、今もシャー・アッバス・メダリオン・コーナー・デザインの絨毯が最も多く作られています。このデザインはエスリミ(唐草文様)や、花を意匠化したパルメットなどの曲線を丁寧に細かく描くため、 高い織りの技術を要求されます。 同じ新興の絨毯産地であるクムとは反対に正統派好みの落ち着いた古典的なデザインを採用する事が多いのが特徴です。 伝統柄を用いる中にも「ナイン・ブルー」と呼ばれるブルーとベージュ(アイボリー)を基調とした抑制された配色を産地の統一した特徴として確立し、 均等な品質から洗練された絨毯というイメージが浸透しています。ホワイトのシルク糸でモチーフの輪郭をデザインする手法も特徴の一つです。落ち着いた色使い、上質な織りは「ノーブル&エレガンス」の評価が高く、シックで優美さと気品があるので、日本家屋でも、和室にも洋室にも合わせやすく、日本人に最も愛されている絨毯の一つといっても過言ではありません。

 世界的に有名なハビビアンをはじめ、質の高い絨毯を生み出す工房が多くあります。ナイン絨毯の基本の材料はウールなので、絨毯は扱い易く、手入れも簡単で実用的な絨毯ともいえます。もともとウールの産地として有名だっただけあって、 ウール、染料ともに最上質品です。


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