ペルシャ絨毯協同組合 Persian Carpet Association in Japan

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連載コラム/Column:素晴らしきペルシャ絨毯の世界

第3回:ペルシャ絨毯の産地と種類 〜イスファハン〜
日本の京都のようにイランで最も美しく歴史のある町

 悠久の時が作り上げた芸術品であるペルシャ絨毯。今回からは、広大なイランに点在するペルシャ絨毯の代表的な産地を紹介していきましょう。各産地では、デザイン、色使い、素材、織り方などがそれぞれ異なる独特な絨毯が作られており、絨毯の名前は産地の地名で呼ばれています。第1回目は、イランのほぼ中央に位置するオアシス都市・イスファハンとその絨毯を紹介しましょう。

 テヘランから南へ約400km、イラン第2の都市・イスファハンは、歴史が古いペルシャ絨毯の産地の一つといわれています。ここイスファハンは、イランで最も美しい街で世界的に有名な観光地として知られています。イスファハンは、イランの中で最も歴史の長い町なのです。日本でいえばちょうど京都のような都市といえます。サファヴィ時代には首都として栄えたので、歴史的に重要なイランを代表する建造物が多いのです。


世界遺産にも認定されたイマーム広場が観光の中心

素晴らしいタイル細工が今も残るイマームモスク 歴史的建造物が周囲に集まるイマーム広場 素晴らしいタイル細工が残るイマームモスクのドーム
「揺れる聖塔」メナールジョンバン キリストの生涯を描いた美しい絵画がたくさん見られるヴァンク教会 ザーヤンデルード川に架かるハージュ橋

 イスファハンでの観光の中心は世界遺産にも認定されたイマーム広場(ナグシェジャハン)。この広場の周りにはタイル細工や石彫の傑作を見ることができるイマームモスク、イスラム世界で屈指の美しさを誇るドームが有名なシェイクロトフォッラモスクをはじめ、アリガプ宮殿、ゲイサリイェー正門など、数々の歴史的建造物が並んでいます。イスファハンで最も興味深いのはメナールジョンバンです。アブアブドラーの墓所の両側にある二つの塔で、「揺れる聖塔」と呼ばれています。市の中心を流れるザーヤンデルード川の南岸には、14の教会があります。なかでも一番有名なのが、ヴァンク教会で、キリストの生涯を描いた美しい絵画がたくさん見られます。ザーヤンデルード川に架かるハージュ橋はレンガ造りのアーチが美しく、市民の憩いの場となっています。また、イスファハンは芸術家、工芸家の町としても知られ、バザールは賑やかで、大商店街と多くのカーレワンサラー宿屋があり、歴史的にみてもとても興味深い場所です。


高級ウール絨毯として傑作、名品が多いイスファハン

 イスファハンとペルシャ絨毯との出合いは、サファビ王朝、シャー・アッバス1世の時代(1587〜1629年)に遡ります。ペルシャ絨毯に強い関心を抱いた王が、カシャーンに次いで絨毯の王立工房を設け、宮廷職人たちを育成し、各地から腕の立つ職人を集めて手厚い保護を与えたのです。それによりイスファハンはペルシャ絨毯の一大産地となりました。サファビ王朝が崩壊した後は、絨毯製作は一時下火となりますが、19世紀末から再び隆盛し、今では、ペルシャ絨毯の中でも最高級品のひとつとされる品質を実現しています。
 ここイスファハンの絨毯は、高級ウール絨毯として名をはせており、名品、傑作が数多く作られています。繊細な色調と精緻な織りに加え、リズミカルで精巧なメダリオンから広がる唐草文様が代表的なデザインとなり、色彩も高級感に溢れています。製作上の特徴としては縦糸シルクがあげられます。上質なウールの中に、細いシルクの糸を縦糸として使うことで、絨毯の織り方、結び方より細かくなり、絨毯の品質が上がるのです。

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