ペルシャ絨毯協同組合 Persian Carpet Association in Japan

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連載コラム/Column:素晴らしきペルシャ絨毯の世界

第7回:ペルシャ絨毯の結び方
ペルシャ絨毯が愛され続ける理由のひとつは、“結びの細かさ”にある

 今回は、ペルシャ絨毯を説明する上で重要な結び方についてご説明しましょう。

ペルシャ結び(ナモテガレン)  ペルシャ絨毯を織ってゆく過程のひとつに、結び目を作る作業があります。もちろんすべて手作業で行われていますので、この作業も大変時間と根気、そして熟練した技術の必要な作業になります。結び目のことをノットといいますが、このノットの密度と細かさが絨毯の質を判断する大きな材料になるといえます。1cuあたりのノットが多ければ多いほど織りが細かく、品質が高いということになります。この結び方には、通常2種類あります。

 ひとつは、ペルシャ結び(ナモテガレン)と呼ばれる結び方で、パイルを下地の縦糸(たていと)一本のみにくぐらせて一巡させ、もう一本の縦糸に引っ掛ける方法で、細かい複雑な文様を表すのに適した結び方といえます。この方法は、イスファハン、ナイン、カシャーン、クム、マシャド、ビジャール、ケルマンなどで用いられています。

 もうひとつは、2本の縦糸にそれぞれ外側から均等にパイルをくぐらせて中央に引き出すという均等に結ぶ方法で、トルコ結び(モテガレン)と呼ばれています。この場合、素早く織り上げるために、糸を掻き出す金具「ゴーラブ」を使います。有名な産地ではタブリーズがこの結びを用いています。

 もともとペルシャではペルシャ結びのみが行われていましたが、のちにトルコ結びが入ってきました。産地によっては、両方の結び方を用いる場合があります。

 さて、ここまで「結ぶ」と表現してきましたが、厳密に言うと「結ぶ」というのではなく、2本の経糸の間にパイルを「挟む」あるいは「絡める」と言った方が正確かもしれません。糸と糸を結んだような「結び目」はできないのですから。「それでは抜けてしまうパイルもあるのでは?」と心配される方もいらしゃるかもしれませんが、心配ご無用。「シャーネ」と呼ばれる鉄ぐしで目を詰める作業を施され、パイルは密集していますので、抜けてしまうことはありません。

 この結びの細かさは、ペルシャ絨毯が世界一といっても過言ではありません。一日の作業がほんの数ミリしかすすまず、一枚の絨毯の製作に何年もの時間を費やされます。だからこそ、ペルシャ絨毯の確かな品質は保たれ、世界中の方々に愛され続けているのです。


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